新年のご挨拶 (奥村利勝)

2024 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いたします。
奧村利勝

2024年新年は、能登半島の大地震や羽田空港の大事故など、これまで経験したことのない大変な状況で始まりました。被災された方々、事故にあわれた方々のことを思いますとなんともやりきれない思いです。皆様の心身が一日も早く元に戻りますことをお祈りいたします。

このような状況ですが、今年は私ごとを報告しなければなりません。私奥村利勝は本年3月末をもって内科学講座の教授を定年退任いたします。これまでの皆様のご厚情に感謝し、長きに渡り支えていただきましたことに御礼申し上げます。旭川医大を1984年に卒業し、第三内科に入局して40年になります。この間2002年から総合診療部教授として、2016年から内科学講座教授として21年教授職を務めさせていただきました。2022年からは大学の新体制発足のもと理事・副学長を拝命しており、この任期がもう少しあるので内科学講座を退任した後も、少し大学には残ることになります。

当初から掲げた目標のうちマンパワー拡大については、この8年間(2016-現在)で消化器・血液・総合診療で76人の新入局者を迎えることができました。また2021年から併せて担当した代謝内分泌・膠原病分野には16名の新入局者を迎えることができましたので、担当した期間に、合計すると92名の新たな若手を本学の内科(消化器・血液・総合診療・代謝内分泌・膠原病)に加えることができました。この過程には歴代の医局長をはじめ、臨床実習を含めて学生を教育的に指導してくれた教室スタッフと関連教育病院のスタッフの協力がなくてはなし得なかったことで、あらためて関係諸氏に感謝いたします。マンパワーの増加で、関連した地域医療への貢献が増加したと捉えておりますが、道東道北の医療現場はまだまだ十分とはいえず、更に本教室が地域へ貢献することを期待します。

自分自身の脳腸相関の基礎研究に関しては、この定年退任直前まで、自分で手を動かして実験できており、あと少しですが退任するまで自分でも研究する我儘を続けさせていただきます。ライフワークと捉えている脳腸相関の基礎研究英語論文も現在95編を数えており、現在投稿中の論文が3篇あり、なんとか最終的には100編をともがいているところです。これまでの研究から「病は気から」のメカニズムを自分なりに解釈し、今後の内科診療に活かせる基盤ができたのではないかと捉えています。35年以上にわたり基礎研究を継続できたことに、あらためて支えていただいた皆様に感謝します。

旭川医科大学内科学講座に関しては、様々な要因でここ数年混乱しておりましたが、本学の内科再編の道筋をつけ2023年10月より内科学講座は大講座となり
内科学講座
循環器・腎臓内科学分野
呼吸器・神経内科学分野
代謝内分泌・膠原病内科学分野
消化器内科学分野
血液内科学分野
の5分野に分かれました

私は旧第三内科(消化器・血液腫瘍 2016-)担当から旧第二内科(代謝内分泌膠原病・消化器)・第三内科合併の新組織(2020-) 病態代謝・消化器・血液腫瘍制御内科学を担当し、2023年10月からは5分野のうち3分野(代謝内分泌・膠原病内科学分野、消化器内科学分野、血液内科学分野)を担当しております。ただ、旧第二内科が担当していた代謝内分泌・膠原病内科学分野については現在新教授選考中であり、本年中には新教授の元、新たなステージへ入ります。消化器内科には現在私奧村と藤谷、水上の3教授が在籍しており、私が退任した後も、すでに2人の教授がおりますので、2024年4月からは 消化管領域を藤谷教授が肝胆膵領域を水上教授が担当し、2教授のもと消化器内科の教室を運営していきます。そして最終的に2030年から消化器内科は1教授として運営していくことが大学の方針として確認されています。血液内科は大学の種々の状況から、直ぐに教授職はおかず、今後の様々な要因を見据えて運営することになりました。皆様には引き続き、消化器内科及び血液内科へのご支援とご協力をお願いいたします。

教室は昨年も教室員の頑張りで、診療・教育・研究・地域医療といずれの領域でも貢献できたと考えてます、例年どおり、研究業績で特に貢献した3人の教室員を同門会研究奨励賞として表彰しました。以下の3名です

山本昌代先生 (血液内科・救急科)
Yamamoto M, Shindo M, Funayama T, Sumi C, Saito T, Toki Y, Hatayama M, Ono Y, Sato K, Mizukami Y, Okumura T. Monitoring mutant KRAS in plasma cell-free DNA can predict disease progression in a patient with multiple myeloma: A case report. Clin Chim Acta. 2023 Nov 1;551:117590.

五十嵐将先生 (現 旭川厚生病院 血液内科)
Igarashi S, Nozu T, Ishioh M, Funayama T, Sumi C, Saito T, Toki Y, Hatayama M, Yamamoto M, Shindo M, Tanabe H, Okumura T. Ghrelin prevents lethality in a rat endotoxemic model through central effects on the vagal pathway and adenosine A2B signaling : Brain ghrelin and anti-septic action. J Physiol Biochem. 2023 Aug;79(3):625-634.

林秀美先生 (消化器内科)
Hayashi H, Sawada K, Tanaka H, Muro K, Hasebe T, Nakajima S, Okumura T, Fujiya M. The effect of heat-killed Lactobacillus brevis SBL88 on improving selective hepatic insulin resistance in non-alcoholic fatty liver disease mice without altering the gut microbiota. J Gastroenterol Hepatol. 2023 Oct;38(10):1847-1854.

私の内科学講座教授としての任期も残り3ヶ月となりましたが、2024年2月9-10日には第51回日本潰瘍学会を沖縄(GI week 2024)で開催させていただきます。2024年3月5日には旭川医科大学で最終講義をさせていただく機会をいただきました。今年は特に一つ一つの仕事を丁寧に行うように心がけて参ります。本年もよろしくご指導のほどお願いいたします。

令和6年1月
奥村利勝
旭川医科大学 理事・副学長・医学科長
       内科学講座 消化器内科学分野・血液内科学分野 教授

旭川医科大学 内科学講座

血液内科学分野

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